『キルラキル』を語る

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©TRIGGER・中島かずき/キルラキル製作委員会

あらすじ

父を殺した犯人を探すため、手がかりとなる片太刀バサミを携えてまとい流子りゅうこは本能字学園に転校する
生徒会長の鬼龍院きりゅう皐月さつきが支配する学園であり、優秀な生徒には特異な能力を与える極制服ごくせいふくが支給されていた

流子は鬼龍院皐月が片太刀バサミについて何か知っていることに気づくが、配下の二ツ星極制服を持つ生徒に敗北してしまう

絶望に瀕していた流子だったが、父親と住んでいた地下でしゃべるセーラー服と出会う
「鮮血」と名付けたそのセーラー服を着て、父親の敵を討つべく鬼龍院皐月に戦いを挑む

服を巡るバトルアニメ

2013年にTRIGGERで制作されたバトルアニメです
監督は中島かずき、シリーズ構成は今石洋之、このタッグはアニメ『グレンラガン』と同じです
当時、リアルタイムで見ていた人は期待がかなり高かった作品なんじゃないかと思います
(グレンラガンについてはまた後日語りたいと思いますが、熱血ロボットアニメで男子心を掴む作品です)

グレンラガンではドリルでしたが、今回は服をテーマに世界観が構成されています
極制服という特殊な制服を着ると特殊能力が使えるようになり、身体能力が大幅にアップします。ライダースーツ的なものといっても良いかもしれませんね
非日常的な世界観でありながら、テーマは服というありきたりな要素をチョイスしたあたり、巧い構成だと思います

超科学とか魔法とか、そういった完全に非日常の中で進んでいく物語もまた面白いですが、服というザ・日常要素を取り入れることで没入しやすくなるんですね
実際、リアルの服と結びつけてなるほどなぁと思う瞬間もあったりします

『キルラキル』ではこの服を巡って様々なバトルが繰り広げられます
主人公の流子は喧嘩っ早い不良少女で昭和のヤンキーのようなしゃべり方で、少々?露出の多いしゃべる服「鮮血」を来て、次々と敵をなぎ倒していきます

相手も相手で喧嘩好きな者が多いのか、2話に1回は戦いのシーンがあったように思います
流子の不良っぷりと荒々しい作画がぴったりマッチするのがポイント高いですね
最近はより高画質で綺麗な作画が求められがちなんですが、世界観にデフォルメされたデザインとシーンに合わせた表現力も重要だと思います

キルラキルはそのバランスを上手くとって、自由に制作された作品だと思います

見る人を飽きさせない展開の早さ

放映当時、このアニメで最も話題になっていたのは展開の早さです
アニメオリジナル作品ということもあって、リアタイ視聴者はより一層早く次を見たいと思っていたはずです
ライトノベルや漫画が原作の作品とは異なる点ですね

原作がアニメと別にある場合、原作とほぼ同じ脚本で物語は進んでいくので、アニメが始まった時点でどこまで進むかはだいたい分かります
が、アニメ原作の場合はリアルタイムで脚本を制作しているのか、途中グダったり、ストーリーが入り切らなくて打ち切り的な終わり方をしたり、作画崩壊したりと、視聴者をがっかりさせてしまうことがあります

ところがどっこい、『キルラキル』ではいい意味で予想を裏切ります
とんでもなく展開が早いんです

24話構成ですが、1話でも抜けばストーリーが成り立たなくなるであろう濃密さ
回想や日常編が挟まるなんてことはありません
全てが気を抜けないキー話といっても良いでしょう

それだけに毎話毎話で視聴者を驚かしたり、新たな進展や発見があったりと、とにかく展開が早い
視聴者を飽きさせず、次回の放映を待ち望ませてくれます

この展開の早さを象徴するのが「総集編」です
2クールアニメにありがちなクール間に追加されるアレです。これまで放送してきた話を1話でまとめるやつ
総集編はリアタイ視聴者にとってはショック回で、毎週真剣に見てきた人にとっては今週の楽しみを1つ奪われたも同じです。視聴者から恨みを買うこと間違いなし

では『キルラキル』はどうか

なんと1分半でまとめました
内容はもはや早送りといっても差し支えないシーン数とセリフの量
声優泣かせの総集編だったに違いありません

最近のアニメにはない展開の早さですよね
もちろん、脚本や作画の負担が大きくなるのだと思いますが、それを2クールきっちり仕上げる制作会社の自力を感じます

言葉遊びの面白さ

異能がある世界では造語が作られるのが創作の常ですが、『キルラキル』では言葉遊びを巧みに使っています。例えば

  • 生命戦維
  • 戦維喪失
  • 人衣一体
  • 九連式急急救命吸引具
  • 宝多財閥
  • 針目縫
  • 絆糸

などなど、他にも個性的な名前や名称が多いんですが、語感が心地よいんですね
展開の早さに合わせて怒涛の固有名詞がどんどん出てきますが、言葉遊びを使うことで理解しやすい単語として頭に入っていきます

制作側が狙ったのかわかりませんが、展開の早さに人間が追いつく一助になってると思いますね
他にもいろいろあると思うので探してみるのも面白いかもしれません

考えるな、感じろ

バトルアニメとはいえ、世界観や物語の展開はとても面白いです
ネタバレになるので多くは語れませんが、敵を倒すたびに強い敵が現れてそれらをどんどんなぎ倒していく…ような単純なストーリーではないです

とはいえ、個人的にはバトルがメインの作品だと思います
それも頭を使ったバトルではなく、双方の力と力、思いと思いをぶつけあう、要は熱いバトルですね
なまじ、力技で進むこともあるので「考えるな、感じろ」という心をもって見てもらうと良いと思います

少年の心で…と言いたいところですが、ちょっと露出と血の量が多いのでお茶の間で見るのは避けたほうが良さそうです
(深夜枠なので致し方なし)

ちょっと違ったアニメを見たい方に

最近、似たようなアニメばっかりだなとか、刺激が足りないなと思っている方に見てほしい作品です
TRIGGER×中島かずき×今石洋之の世界観は独特ですが、人を惹きつける魅力があります

ストーリー、バトル描写、世界観、全てがハイクオリティの良作品です

なんなんだい、その次代錯誤のチンピラっぷりは
変な街だと思ったら、住んでるのもとち狂った連中だね。いいよ、売られたケンカは買うのが信条だ。かかってきな

TRIGGER・中島かずき/キルラキル製作委員会『キルラキル』第1話 あざみのごとく棘あれば より

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